BLMに対し「黒人差別だけじゃない!」という発言
「2020年」世界史上で重要になるであろう年ですね。というか、そうなる年になって欲しい。(宇多田ヒカルも言ってたなぁ)
未来の歴史の教科書に
「2020年5月ジョージ・フロイドが白人警察に殺された映像がSNSに拡散されたことで、アメリカ全土だけでなく世界中で激しい抗議活動が起った結果、黒人の人権に対する真の平等化へと繋がった。」
なんて書かれていて欲しい。
今回の #BlackLivesMatter運動に対して、色んな意見があると思う。
私はアメリカでニュースをオンタイムで見れる環境にあり、情報も英語と日本語から得られている。
なので、最初にこの件について最初に知ったのは英語の情報。そして多くのプロテスター達の抗議活動の様子も英語で発信されているSNSを中心に見ていた。
見ている中で暴動(ミネアポリスの大火事など)の様子もツイッター等でよく拡散されていた。
しかし彼らのコメント等を読んでいると「火をつけてアルコールを投げたのは全身黒い服を着た白人」等の目撃情報が多くこの問題の根深さにゾッとした。
私の場合は、今アメリカに住んでいるだけでなく、日本でもアメリカのドラマや映画を見ていたし、アジア・ヨーロッパの様々な国の渡航経験があったため、この黒人と白人の差別・貧困格差の事情は知っているつもりだった。
日本の義務教育で聞いた「アメリカは人種のるつぼ」なんて嘘だなぁとも思いつつ他人事だったかもしれない。
しかし、このジョージ・フロイドの一件以降多くの黒人達が自分自身の苦しんだ経験談をSNSで沢山見た上で、更にこのデモを使って黒人を暴力的に見せようとする白人達が多くいる現実に衝撃を受けた。
そして、アジア人として日本で育った私には想像しきれない感情が彼らにはあるんだと思い、暴動・略奪のニュースも悲しく思いながら見ていた。
ここで当事者でないアジア人の私が「略奪はよくない!意味がない!」なんて当たり前の発言をしたところで何にもならないと思うからだ。
先週くらいから日本のニュースでも報道がされている様子を見たり、日本の芸能人やインフルエンサー達でしっかりと問題意識を持ってくれた人が日本語でもこの問題について発信するようになっていた。
しかし、その #blacklivesmatter 発信者に対する日本語でのコメント欄の多くが
「日本の国内にも”差別”はあります!」
「在日朝鮮人の方や中国人への"差別"はどう思いますか?」
「コロナの時のアジア人差別の時はこんなに騒いでくれなかった!」
「”差別”は黒人だけじゃない!!」
英語から日本語に訳し、今のアメリカ状況を発信してくれる数少ない情報発信者に寄せられるのはこのようなコメントが多かった。
勿論これを機に様々な”差別”に注目し、気づいていく姿勢や学んでいく姿勢は素晴らしいと思う。私も色々な国の人と話したことで、知らなかった各国の差別問題が沢山あった。
しかし、このようなコメントをする方々に言いたいことが2つある。
まず1つは、今アメリカでここまで抗議デモが大きくなったのは「差別」の問題だけではないということ。最近では「構造的差別」と訳されているが、個人的に「差別」という言葉を使うから「こっちだって”差別”はある!」となってしまうのかなと。
今アメリカ社会は市民同士の差別的発言・行動(これは確かに私含むアジア人も被害にあっている)も問題だが今回の問題は別の次元だ。
国の権力の配下にあり、国民を守る立場である警察が「国民」を肌の色によって不当逮捕・殺人までしているからこそ、ここまで大きくなったのだ。
更に詳しく言えば、仮に今回のように警察と被害者遺族の裁判になっても、警察官(権力者)が国民である黒人を”故意ではなく”殺してしまったと主張しその判決を下すのも裁判官(権力者)であり、警察官を裁かないケースが多々あったことも今問題になっている。またそもそもの憲法にも抜け穴があり、実質刑務所に不当で入れられた人が奴隷と化しており、1970年以降その投獄者は急増している。
国民を守るための国の権力を持った機関(警察・裁判所・憲法)が自分や家族を守ってくれないどころか殺してくるのである。これは「差別」ではなく国家による「迫害」といった方が適当ではないか。
だからこそ「黒人の命は重要だ」(直訳)となるBlack Lives Matter なんていう本来ならば当たり前のフレーズを国の権力者達に、更に黒人へ差別意識がある市民・社会に訴えかけているのだ。
そこの発信者に「アジア人”差別”だって!」と入ってくるのはお門違いなのだ。彼らは国からの差別だけでなく”迫害”と戦っていると言っても過言ではないからだ。
私もアメリカに住んでから特に新型コロナの蔓延後に差別を感じた経験はあるし、過去記事で向き合っていた。
しかし、私は母国の日本は勿論、異国のアメリカでも警察に殺される・不当逮捕される危険性を感じたことはないし、そもそも心配すらしたことがない。
しかし、黒人達は自分の母国で普通に生活しているだけでも、守ってくれるはずの警察に怯えて暮らしている。ジョージ・フロイドだけでなく何人もの黒人達が警察に殺されてきたにも関わらず、殺害者側である警察は裁かれていない。
彼らは”差別”だけでなく、母国からの”迫害”に対して戦っているという認識をもっと持ってほしい。
2つ目に言いたいことはこの BlackLivesMatterを発信している人に対して「こっちの差別は?」というのは違うということ。確かに世の中には把握しきれないあらゆる差別問題がある。そこに目を向けるのは至極真っ当なことだと思う。
しかし、彼らは彼らで”差別”と”迫害”に戦っている。
別の差別に問題意識があるなら、その問題意識がある個人個人、または団体を作るか所属して「こっちにも問題ある!」と別で発信すればいい。
”差別”という言葉に反応し、違う差別問題に向き合っている人に対して「じゃあこっちは?」と言うのはおかしいことにもっと多くの人に気づいて欲しい。
多くの人が無意識に差別してしまっていたり、そもそも問題意識が少ない中で、せっかくその問題意識があるのであれば、正面からその問題と向き合って欲しい。
そして、そういう方々の発信を私は読み、学びたいと思う。
長くなってしまったが、私はアメリカに一時的に住むただの日本人だが、この移民によってできた国アメリカで2020年になってもこのような”差別”や”迫害”があることに強く問題意識を持っている。
なので、今後も発信していきたいし、発信している人を支援しようと思う。
#BlackLivesMatter
差別される側になって思うこと
いきなり当初の予定していたブログの内容ではないですが思うところ多々あったので書かせて頂きます。
2020年早々に暗いニュースですね。
「新型コロナウイルス」「COVID-19」
中国武漢で騒ぎになったのが1月の終わり。
その当時ニュースを見ていても
「中国が大変」みたいな他人事のようなニュースばかりでしたが、日本も空港からの感染者、空港から電車内での感染者を考えたらあっという間に広まるだろうなと感覚的に思っていました。
これは当然の感覚だと思うし、空港をよく使う方なら分かると思います。
その後、各国が中国からの渡航をすぐに禁止している中で隣国の日本は全く対応していない上、結局国負担になった武漢在住日本人の帰国後の検査を強制していないこと、ダイアモンドプリンセスの対応・厚労省の職員の職場復帰等、日本の政府の対応の恐ろしさを見て、2月の終わりに「緊急事態宣言」を出されても個人的な感想は「え?何を今更?」でした。
マスコミも連日のようにせっせと「○○県で何人感染」と日本地図を出して説明していましたが、特に関東近郊においては東京に通勤している人がどのくらい多いかを考えれば当然のように意味がない情報じゃないでしょうか。
対応するワクチンがないなら予防するしかない。自分達に出来ることは免疫力の向上、日常的な手洗い等だけ。と私は落ち着いていたつもりです。
しかし、悲しいことに同世代の決して無知とは言えない友人達もマスコミに踊らされてました。
「緊急事態だって、、○○駅は中国人多そうじゃない?会うのやめとこうか。」
「○○駅は中国人多そうだからやめとこう」
このメッセージが来たとき、何と返信していいか分かりませんでした。
書ききれないぐらい複雑な気持ちになりました。
まずは
「政府が緊急事態宣言したから」
「学校も休校になったし」
とマスコミが煽りだしたら急に怯え出すことへの操られ加減にも辟易としてしまいました。
その友人は多くの外国人が観光や買い物に来る大きなハブ駅に毎日満員電車で通勤していたのです。なにを今更怖がるんだ。
更に「中国人」と一括りにし、差別的な発言に嫌悪感を否めない。更に世界的に見たらもう「アジア発祥」のウイルスとして悲しい人種差別が始まっていることを知らないのか。と。
そんな中、日本からアメリカに帰ってきて約1週間が経過しました。自主的に自宅待機をし、こっちの友人にも2週間経過後までは会わないと伝えています。
しかし、日本の友人が中国の人を見るように自分も「アジア人」として見られてると思うせいもあり、外出のとき非常に肩身が狭く感じます。
私はニュースやTwitter動画にあるようなクレイジーな輩には絡まれてません。しかし、「嫌がられているなぁ」と感じる差別はあります。
一例をあげると、マンションのエレベーターを待っている列に私が並ぶと、わざわざ違う列に並ぶ人もいました。これはつまり、私と同じエレベーターに乗りたくないんだろうなということです。
長々と書いてしまいましたが、
差別される側になって思うことは
それによって生まれるのって負の感情しかないんだな、ということです。
怒り、憤り、悲しみ、憎しみ、虚しさ。
今回の新型コロナの前から様々な差別問題はありました。
日本においては「外人」を筆頭に、ネガティブな意味での「中国人ぽいよねー!」とか。
世界で見ればLGBTQや有色人種、他宗教への差別。
私もアメリカで感じる視線、負の感情を通じて
世界から戦争がなくならない理由が分かった気がします。
もし、まだ日本で中国人や朝鮮人への差別的な発言をしている人、海外から日本に来ている人に嫌悪感を抱いている人がいたら、自分も「差別される側の人間」だということに早く気付いて欲しいです。
差別された側は、差別してきた人のことを
「無知で愚かな人」と差別します。
だって同じ人間なんですから。
自分も何かで差別されたらそう思うでしょう。
差別は新たな差別を生むだけです。
恥ずかしながら、海外で自分が「嫌がられているな」とはっきり感じるのは今回が初めての経験でした。
なので、今回その経験を通じて感じたことを忘れないうちに書かせてもらいました。
早くこの新型ウイルスが収束に向かうことを祈りつつ、自身の感染と発症を防ぐよう免疫力の向上に努めましょう。
それが自分達に出来る唯一のことではないでしょうか。